「よし! ……これはね、授業で習った時からずっと考えたんだ。どうしてルイ16世は逃げることができたのかなって」

んーっと首を傾げながら頭を捻る桜川。

つい数ヶ月前まであんなに苦手だった世界史を、桜川がそこまで深く考えるなんて……。

意外と言うか驚きというか、レベルアップの速さに本当に感心する。

前回の“苦手で苦手でたまりません”ってゆう表情はどこへやら、桜川は眉をひそめて純粋にそのことを考えていた。

こんな俺の(つたな)い知識が、桜川の役に立てるのなら、いくらでも教えてあげたいと思う。

「マリーアントワネットの愛人が手伝ったってゆう説もある」

「え!? 愛人!?」

桜川はその言葉に顔を赤くしながら口をパクパクさせた。

……そんなに照れることか?

愛人関係なんてこの世界に一体何百あると思ってる……。