この恐ろしい顔、何度見てきただろう。

この顔で近づかれる時の、この心臓のバクバク……何回経験してきたかな。

私はギュッと目をつぶって体を縮こまらせる。

もう二度と、経験したくなかった─────

殴られる……!!

─────こんな気持ち。

ーギュッ。

「大丈夫だから」

…………っ!!

さっきよりも強く、優しく私の体を抱きしめる腕と、力強い声。

トクントクンと一定のリズムを刻む優羅くんの鼓動に、私のバクバク激しく動いていた鼓動も合わせるように落ち着いていく。

「おい」

っ。