……でも──────────

ーギュッ。

崩れ落ちる寸前でふわっと優しい芳香に包まれる私の体。

ゆっくりと目を開ければ、誰かの腕がしっかりと私の体を支えていて。

力強くて、温かくて、優しい……。

顔を見ずとも分かる。

この安心感は一人しかいないから……。

「ゆ、ら……くん」

私は震える手で(すが)るように、優羅くんの腕を掴んだ。

「大丈夫」

私を落ち着かせるように囁かれる優しい声。

その言葉一つで震えがおさまっていくほど、優羅くんの声は不思議な力がある。

本当に大丈夫だと思える……。

優羅くん……。