「恋々愛」

ードクンッ。

っ!!

これ……この心臓がギュッと握りつぶされるみたいな感覚……。

……苦しい。

その優しい声とその笑顔。

封じ込めたはずの記憶が一気に蘇りそうになって、私はギュッと目をつぶって耳を塞いだ。

いやだ……思い出したくない……!

その声で、私の名前を呼ばないで……!!

数メートルの距離があるのに、“あの人”の声がそばで囁かれているかのように、しっかりと届いてくる。

──────────怖い。

「っ!! 恋々愛ちゃん!?」

ガクガクと震える足が耐えきれなくなって、私はガクンと膝から崩れ落ちた。