きっとまた道に迷ってぐるぐると校内を回っていたんだろう。

その姿が容易に想像できて、また微笑ましくなる。

「ち、ちょっと……行き慣れないところは……はぁ……難しくて」

息も絶え絶えにそう答えた恋々愛は、そっと体を起こして数回深呼吸を繰り返した。

「……って、あれ?」



息を整え終えた恋々愛は、俺たちを見回して首を傾げる。

なんだ?

「なんでみんなクレープ持ってないの? ……もしかして……もう食べ終わったの!?」

不思議そうな顔をしたかと思えば、目を大きくしてクレープの心配をする恋々愛。

その顔は俺たちが答える前から絶望的で。

そんな恋々愛の言動一つ一つが全て可愛く思える俺は、かなり重症なのかもしれない。