「い、いいよ、楓くん! 私が頼まれたんだし!」

「いいから言えって。早くしねーとこのままここに置いていくぞ」

うっ……。

そ、それは困る……困るけど!

でも──────────

「まぁ、このまま置き去りにしたらお前学校閉まるまでに帰れないと思うけど」

っ!!

「か、化学室です……!」

楓くんの脅しにすぐさま反応する私。

ってゆうか楓くん、なんで私が道分からないの知ってるの!?

いつの間にバレて……。

困惑と恥ずかしさとで申し訳なさと、いろんな感情が入り交じって混乱している私とは対照的に、くるっと(きびす)を返してスタスタと歩き出す楓くん。