梅乃くんのほうが風邪引いちゃうよ。

「着てて。恋々愛、寒そうだから」

梅乃くん……。

梅乃くんは笑ったり怒ったり悲しんだり、林山くんみたいに感情表現が豊かじゃない。

常にポーカーフェイスで、何を考えているのかよくわからない。

……でも──────────

梅乃くんの瞳、揺れてる……。

いつも真っ直ぐに私を見つめる瞳が不安げに揺れ、私の胸をギューッと締めつけた。

心配……してくれてるの?

梅乃くんのブレザーをギュッと握りしめながら、温かさに包まれる。

体も、心も、あったかい……──────────

梅乃くんの瞳を見つめ返す視界が滲んでいく。

「恋々愛」