「俺、ばあちゃんの病院に行ってくる!」

「えっ、風磨くん!?」

電話が切れるなり、風磨くんは慌ただしくリビングから出ていった。

おばあちゃん、絶対何かあったんだ。

大丈夫かな……?

風磨くんがあんなに慌てるなんて、ただ事じゃないんだろうし……。

………………って、ん?

ふと視線を落としたダイニングテーブルの上には、風磨くんがバイトに行く準備をしていた残骸。

んんん!?

そこには見覚えのある財布がポツンと乗っていて。

嘘……風磨くん財布忘れてる!!

* * *

風磨くんの財布を手に、最寄りのバス停まで全速力で走る私。