「そうだね。恋々愛ちゃんのことをそう思ってる女の子は多いかもしれない……」

風磨くんは尻もちをついたままの私に近づいてくると、そっと手を差し伸べた。

……あっ。

ニコッと優しく微笑んでくれる風磨くん。

恐る恐るその大きな手を握ると、ギュッと力がこもって、私を軽々立ち上がらせてくれて。

……やっぱり私──────────

風磨くんの手握っていた手をジーッと見つめる。

男子苦手なの、克服してる……?

体の震えもないし、悪寒もしないし、全然嫌だとも思わない。

……まぁ、そんなことを呑気に考えてる場合じゃないんだけど。

「……でも、そう思うのは涼華ちゃんたちの勝手。“恋々愛ちゃんから俺たちに近づいてきた”んじゃなくて、“俺たちが恋々愛ちゃんに近づいた”んだから」