でも、梓川くんは梓川くんで他の勉強してるし……邪魔しちゃ悪いよね?

「どこがわからないんだ」

「えっ?」

思わず下げてしまってた顔をパッと上げる私。

梓川くんは、手元に世界史の教科書を持ってパラパラとページをめくっていた。

梓川くん……。

「えっと……人物の名前がなかなか頭に入らなくて。流れは覚えてるんだけど、それやった人って誰だっけ? って感じで……」

日本人だと馴染みがあって覚えやすいんだけど、世界史となるとカタカナばかり。

なんて発音するの? っていう名前もあるし……。

「桜川は人の顔と名前覚えるのは得意か?」

「あぁ、得意な方……かな? 2回ぐらい見たらなんとなく覚えると思う」

「この勉強法、優羅には効いたんだが……」