そう言いながら、教科書の一番後ろのページを開く梓川くん。

そこには、人物の肖像画がたくさん載っていて。

こんなところに肖像画があったとは……。

「いま桜川が暗記している世界史のストーリーは、のっぺらぼうばかりだろう」

うっ……図星だ……。

「まずは肖像画を見て名前と顔を一致させる。その後文章を読んだら、桜川のストーリーののっぺらぼうに顔がついていくだろう。テストの時はストーリーを思い出して顔を思い出せば名前も思い出すという暗記術だ」

「す、すごい……!」

顔を覚えるなんて考えたこともなかった。

まさに、急がば回れって感じの暗記術。

これだったら、顔を覚えるのが得意な私には最適かも!

「梓川くん、ありがとう! 試してみるね!」

ペコッと頭を上げながらお礼を言うと、梓川くんはふっと柔らかく微笑んだ。