「ホントにすみません。急に頼んでしまって……」

「いいのいいの! 凛音のいつもの無理難題に比べたらどーってことないから!」

藤原さんはメイク道具を片付けながら、皮肉混じりにそう言った。

私はその返しに思わず苦笑い。

凛音くん、藤原さんに、“また急に無理言ってー!”ってよく言われてるイメージあるもんね……。

「本当にありがとうございます」

「いいえ! さっ! みんなにお披露目よ」

藤原さんはそう言ってニコッと微笑むと、生徒会室に続くドアに手をかけた。

ーガチャ……。

「さあ、お姫様の登場よ!」

藤原さんの言葉に、ゆっくりくつろいでいたみんながコッチを振り向く。

わぁっ……みんなも浴衣着てる!