梓川くんがソファから立ち上がる気配に、私もつられて下げていた頭を上げた。

すると……。

ーふわっ……。

「わわっ」

突然視界がブランケットで覆われて梓川くんの顔が見えなくなってしまった。

「……ありがとう、桜川」

ブランケットをよけた頃には、梓川くんはリビングを後にしていて。

“ありがとう”、って……。

私、何もしてないよ?

鼻をくすぐるブランケットについた梓川くんの香り。

少しは仲良く……なれたのかな?