思い出すのは、あの厳しくて怖い優羅くんのお父さんの顔。

「母さんだけ。父さん忙しいし」

そっか……まぁでも、優羅くんは進路もう確定しちゃってるもんね。

その条件のもと、いまこうして羅桜高校に通えてるんだし。

「奈雄輝んとこは……おばさんか」

「ああ」

楓くんは渋い顔をしながら梓川くんを見つめた。

対する梓川くんはいつものポーカーフェイスだけど、みんなも楓くんみたいに顔が曇りだして……。

なに……梓川くんのお母さんってそんなにヤバい人なの!?

* * *

夏休みに入り、朝から夕方まで部活動で賑わう学校。

3年生は部活も引退してるから学校に来ることはほぼないんだけど、夏祭りが近づいてる今、私はみんなと生徒会室で集まっていた。