そろそろ、帰ってきてる頃だろう。

なんとか式典が始まる前に父さんと話をつけないと──────────

* * *

父さんの書斎に向かう途中。

廊下を曲がると、怪しげな人影を見つけた。

「恋々愛……?」

壁に隠れながら、ジーッとどこかを見つめている恋々愛。

こんなところで何してるんだ?

それに、一体何を見て──────────

「やめるんだ!!」

ーバンッ!

っ……!

俺は恋々愛に近づこうと踏み出した足をピタッととめた。

今の怒号……父さんだよな?