「はい!」

客室のドアをノックする音に、私はさっきから過敏に反応してしまっている。

いい知らせが舞い込んでこないかと……。

私は少しの期待を胸に飛び起きた。

「式典の準備が整いました。桜川様にもご参列願います」

「あ……はい」

期待はまたも空振り。

式典の準備が出来たってことは……もしかして説得するの間に合わなかったのかな?

あぁ、胸がモヤモヤする……!

今朝雅さんに聞いた話だと、式典では婚姻届にサインするって言ってた。

最悪、提出する前に阻止できればいいんだけど、サインするのも出来れば避けたい。

雅さんと優羅くんの望みは、婚姻届に好きな人の名前と自分の名前が並ぶことだから……。