初めて会う人と結婚しなくちゃいけないなんて……。

梅乃くんと雅さんのことを思うと、ぎゅっと胸が締めつけられる。

……でも、生徒会のみんなが説得に成功できたら──────────

「私たち、その婚約を止めに来たんです」

私の言葉にピクっと反応した雅さんは、口を付けていたティーカップをそっと受け皿に戻した。

その顔はなんとも言えない複雑な表情で。

「“私たち”というか、私はおまけのようなものなんですけど……梅乃くんと幼なじみのみんなが、この婚約をやめさせようとここへ来たんです」

「やめさせようと……そうですか。嫌ですよね、こんな結婚」

憂いを含んだ雅さんの苦笑い。

「雅さんは嫌じゃないんですか? 初対面の人と結婚なんて……」

結婚は女の子の憧れなのに………大切なものなのに。