風磨くんの怒りで震える声に対して部屋に響いたのは、依織くんの悲痛な叫び。

「恋々愛が転校して、目の前からいなくなって……これでもう恋々愛を傷つけずに済むと思った。……だけど、テレビで流れてた羅桜高校の夏祭りの映像で恋々愛が映った時、恋々愛に会いたい、恋々愛のそばにいたいって衝動に駆られて……そこからはもうその一心で……」

そう吐露する依織くんの姿は小さくて、苦しそうで。

「恋々愛、絶対怖かったはずなのに、暴力を受けるの覚悟で真正面から自分の気持ちを伝えて、俺と向き合おうとしてくれて……なのに俺は、そんな恋々愛を殺そうとした……」

薄暗い灯りの中でも、依織くんの瞳が潤んでいるのが分かったそう。

「こんな自分をどうにかしたい……変わりたい……恋々愛をもう二度と、傷つけたくない──────────」

そう言った依織くんの瞳に、嘘偽りない真っ直ぐな意思が見えたと、優羅くんはいう。

「それが、お前の本心なんだな」