だって、2か月前のあの一件から、誰もその名前を口にしなかったから。

え? ……え??

戸惑いや不安、驚き、色んなものが一気に押し寄せてきて、私の脳内は軽いパニック状態。

……でも──────────

「恋々愛」

私の気持ちを悟ったのか、落ち着かせるように優しく私の名前を呼ぶ優羅くん。

その声は、不安も戸惑いも一瞬にして吹き飛ばしてしまうほどの安心感があって……。

「あの夜のこと、今から全部話すから……聞いて欲しい」

そう言って優羅くんは力強い瞳で私を真っ直ぐに見つめた。

私はその真剣な眼差しに息を呑みながらも、意を決してコクっとゆっくり首を縦に振った──────────

11月下旬。

駅前のビッグツリー点灯式当日のこと。