「だけど、エミさんが死んだのは心臓発作だって聞きました」


「違うわ！　エミはイジメにあったことがショックで発作を起こして死んだのよ！」


途端に怒号を上げられて怜美の体は　ビクリとはねた。


「それなのに学校側はイジメなんてなかったの一点張り。こっちの話なんて全然聞いてくれなかった！」


次に両目に涙を浮かべる母親。


エミの死を思い出してしまったようだ。


「お母さんやめてよ。本当にイジメなんてなかったんだよ。私、学校大好きだったのに」


エミが母親の後ろに回り、その体を抱きしめる。


しかし、その声も姿も母親には届かない。


それが怜美にとって歯がゆかった。


「もう１０年だよお母さん。しっかりしてよ」


そう言うエミの目からも涙が零れ落ちていき、母親の頬に落ちた。


その瞬間ハッとしたように顔をあげて周囲を見回す母親。


なにか感じるものがあったのかもしれないが、エミの姿を見ることはできなかったようで落胆した表情に変わった。


「……どうしてイジメられていたと思うんですか？」


「それは……親ならわかるのよ」