裏庭はそれほど広くなく、犬たちはすし詰め状態だ。


これだけの数がいると散歩にだって行けるわけがなく、庭中糞だらけ。


これじゃ悪臭が近所中に漂っていても不思議じゃなかった。


唖然としながらその様子を見ていると、怜美は一匹の茶色い犬に視線を奪われた。


その犬はさっきから地面に寝そべって目を閉じている。


「見てあの子、全然雨動かないよ！？」


「え？　……本当だ。大丈夫なのかな？」


もしかして本当に死んでるんじゃ……！？


そう思った瞬間猫田さんが怜美の肩をたたいた。


振り向いて見ると、自転車に乗った警察官がゆっくりと巡回しているのが視界に入る。


「雪ちゃん、警察の人がいる！」


「うん。話をしてみよう！」


２人はうなづきあい、警察官に話を聞いてもらうためにかけだしたのだった。