「こんなところでなにしてるの怜美ちゃん。ここ、通学路じゃないよね？」


雪ちゃんは走ってきてそう聞いた。


「うん……実はね」


怜美は偶然ここを通りかかって、家の中から沢山の動物の声を聞いたと説明した。


すると雪ちゃんは暗い表情になり、男性の家に視線を向ける。


「この家ね、ずっと前からそうなんだよ。においとかもひどくて、苦情も出てるんだけど全然改善されないの」


「そうだったんだ……」


雪ちゃんは男性の家へと歩き出した。


怜美も慌ててその後を追いかける。


「ほら見て。裏庭にも沢山の犬がつながれてるんだよ」


雪につれられてやってきたのは裏路地だった。


胸くらいの高さの塀から確認してみると数十匹の犬たちがつながれているのがわかった。


「こんなに沢山！」


想像以上の数に怜美は息を飲んで絶句する。