この家は犬と猫を飼っているようだ。


今の威嚇する声は喧嘩が始まる合図だったようで、家の中から激しい喧嘩の声、そして物が落下する音が聞こえてきた。


思わず耳を済ませてしまう。


犬と猫が喧嘩している声が聞こえる中で、鳥の鳴き声も混ざってきた。


これって……。


怜美が立ち尽くしていたとき、不意に玄関が開いてあやうくしりもちをついてしまいそうになった。


驚いて視線を向けると５０代くらいの男性が立っている。


灰色のスウェットには猫や犬の毛がくっついていて、玄関が開いた瞬間激しい異臭が鼻を刺激した。


男性は目の前に立っている怜美に怪訝そうな表情を向けた。


「誰だお前」


低い声に震えてしまいそうになるのをどうにかおさえて、怜美は学校の野良猫について説明をした。


そうしている間にも呼吸ができないくらいの異臭が怜美を襲う。


玄関の奥に見えている廊下は人間の服やペットのご飯などが散乱し、渦高くつみあがっている。


こんな中に何匹もの動物がいるのだと思うと、背筋が寒くなった。