第3話


6月8日
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「おはよう。」


「あ、おはようございます。」


「山田君、これありがとね。

[はじめての男子料理]
めちゃくちゃ参考になったよ。」


「大学時代からこのレシピ本のお陰で、
節約生活できてましたから!

これで大村さんも料理男子っすね!」


「もう“男子”って歳でもないよ。

でもまぁバツイチの独り身だから、
せめて料理ぐらいは極めないとなぁ。」


「ず~っとカップ麺だった大村さんが弁当作るようになったら、良い話のネタになりますよ!

今度、中井貴一のサラメシに応募したらどうっすか!?」


「いいね。俺もあの番組たまに見てるよ。」


「・・・・あ!!大村さん。
図々しいお願いしてもいいっすか?」


「どうした?」


「俺は料理男子を極めたので、
次は読書男子を目指そうと思って!

今度大村さんが持ってる本貸してくださいよ!」


「おぉそれぐらいだったら何冊でも貸すよ。
どういう系がいい?」


「大村さんは確かミステリー好きでしたよね?!俺も読んでみたいっす!」


「あ、じゃあちょうど昨日読み終わった本があるから、明日持ってくるよ。」


「あざっす!何て本ですか?」


「“屁無屁無 寅”って作家の本なんだけど、

頭のネジが外れたサイコパスな男が主人公の結構ぶっ飛んでる話だよ。」


「へ~!面白そう!」





ちょうどいい・・・。

捨てるのも勿体なかったから、
そのまま山田君にあげてしまおう。


もう・・俺には必要の無い本だからな・・。