病院で産声を聞いたあの日・・

“男”目線で言うと世間一般的には少し早かったのかもしれないけど、26歳で俺は父になった。


よく自分の子供の事を、

“目に入れても痛くない”
“天使”

と表現する事があるが、
やっぱり自分もそう感じた。


元 妻の希望で名前を【アミ】と決めて・・


病院で初めて会った0歳のアミの表情も、“ア~”や“ウ~”としか話せない1歳のアミの表情も、

毎日のようにバイキンマンを演じて、この胸にアンパンチをしてくる2歳のアミの表情も、


お遊戯会で桃太郎Dを好演するアミも、
初めての自転車に興奮するアミも、

ランドセルと学習机を喜ぶアミも、


一緒に過ごした“10歳”までの記憶は、
今でも鮮明に覚えている。







「・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・。」


“絵に描いたような人生”
“絵に描いたような幸せ”


俺自身が0歳~36歳までずっと置かれた環境。


ぬるま湯に浸かり続け、お湯の温度を感じる事を忘れてしまっていたのかもしれない。


リビングのテーブルに置かれる緑色の紙。
向かいに座る無表情の元 妻。