第1話



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“絵に描いたような人生”


今年で43歳になる自分が、

36歳まで歩んできた道のりは、
そう表現されていいものだった。


公務員の父、専業主婦の母。
3つ年の離れた兄が1人。


4人家族で育ち、
休みの日は野球場でプロ野球を観戦したり、

夏になれば避暑地でキャンプをしたり、
冬になればスキーを楽しんだり、


中学、高校、大学までの教育課程を終え、
大手の企業へ就職。

何不自由なく育っていった。






「結婚してください。」


「・・ホントに・・私でいいの・・?」


「必ず・・・幸せにします・・!」



元 妻との恋愛も、
決してドラマチックなものではなく、

職場で出逢い、皆に内緒で付き合いを深め、
交際2年後にプロポーズをした。




「見て見て!
今回はエコー写真ハッキリ映ったの!」


「・・お!これってもしかして・・!?」


「女の子だよ!」


「よっしゃーーー!!」



男兄弟で育ってきた自分だったから、もし子供を持つなら女の子が良いと思っていた。


だから、産婦人科の検診を受けてきた元 妻が見せてくれたお腹の写真を見て、喜びを感じた。