「初めて見たときからずっとかわいいと思ってたし、マネージャーになってくれて、頑張ってる姿見て、守りたいと思った。」

「高崎くん…」


思考が追い付かない。


私はさっき香月くんが好きだって気づいて…
香月くんは今、東郷さんに告白されてて…
高崎くんはずっと私が好きだった…?


「返事はいつでもいいから。」

「あ…えっと…
わ、私は…
香月くんが…!「麻。」



ドキッ!!


心臓が飛び出るかと思った。



「何してんの。」


「香月…」


「何してんだよ!」


香月くんは私の腕をつかんで、高崎くんから引き離した。


「え?か、香月くん…」

東郷さん…いない…。
っていうことは…


「麻に何言った。」

「香月に関係ねぇよ
七瀬さん離せ。」


な、なんで…
こんなケンカみたいになってるの…!?


「離すわけねぇだろ。
帰るぞ、麻」

「えっ…」


香月くんは私の腕をつかんだまま、
高崎くんを置いて歩き出した。


「か、香月くんっ…」

東郷さんはどうしたの?
告白されたの?
どうして今、私を連れていったの?

聞きたいことは胸のなかにくすぶって、
モヤモヤと行き場なく全身に広がる。


それでも、
掴まれている腕が熱い。

当たり前のように荷物を持ってくれるのが嬉しい。

無理に引っ張っていったのに、怪我した右手と逆の腕を、優しく掴んでくれている。

今までは見過ごせていたのに…
急に全部が愛おしい。

好きだ…


好きだ。



私はきっと赤い顔を見られないように伏せながら、
ほんの少し香月くんとの距離を縮めて一緒の帰路を辿った。