どうしよう…
香月くんと東郷さんが二人で下駄箱に来たら…

気持ちに気づいて数分で失恋!?

いや、それよりも今後東郷さんと3人で登下校することになるのかな…。


東郷さんも危険になるし、だからと言って私と二人きりで登下校してるのも彼女を差し置いておかしいし…

あ、でも夢に東郷さんは出てきてないから…
予知夢から遠ざけるっていう意味ではいいのかな。



思考は失恋と予知夢の間でぐるぐる回って、
キャパオーバーになった私は自分の膝に額を押し付けた。


「無理…秒で失恋したら予知夢のこと考えてる余裕ない…」


あれ…
でもそう言えば


カラオケの日以来、私…予知夢見たっけ…

もともと毎日見ていたわけじゃないけど、
こんなに長く見ないことは…


「なーなせさんっ」

「えっ」


上から声をかけられ、パッと顔をあげると
そこには笑顔の高崎くんがいた。


「高崎くん、お疲れ様。」

「おつかれ。怪我大丈夫?」

「あ、うん…。捻挫か突き指かな。」


私は立ち上がり、笑顔を作って見せた。


「なんか…元気ない?
あ、よかったら飯でも食ってく?
大連たち先に行ってるから。」

「あ、いや…香月くんが…」

「香月?ならさっき東郷と部室棟の方歩いてったけど。用事?」


部室棟…
そっか、保健室じゃ人来るかもしれないもんね。


部室棟の裏なら…私が香月くんに怒られたときも人気なかったし…


「えっ、ちょ!七瀬さん!?」


ポロポロと溢れた涙が落ちていく。


最初からそうだ。
香月くんにとって私は
怖いやつ・ストーカー・頼りなくてトロくて…

恋愛対象じゃない。


「おち、落ち着いて…っ」

「っ…うっ…フッ…」


何をうぬぼれてたんだろう…。
バカだ。


「な、七瀬さん!!」


高崎くんに肩をぎゅっと掴まれ、驚いて涙が止まる。


「たか…さきくん…。」

「香月のこと…好き…なんだよね?」

「っちが…」

「いいよ。違くてもいい。

七瀬さん。
俺、七瀬さんが好きだ。付き合ってほしい。」




「へ…」


予想だにしていなかった高崎くんの告白に、
私は間抜けな顔で呆然とした。