「それとも、貴女は正体がバレると質が落ちるような作品を書いているんですか?」
「……っ!! いいえ!! そんなことはないです!!」
「では、何の問題もありませんね」


 そこで彼女はハッとする。

 言葉こそ厳しいように感じるが、彼は励ましてくれたのではないだろうか?
 暗に「気にするな」と言ってくれているのではないだろうか?

 とても都合の良い憶測に過ぎないかもしれないが、そう思うと途端に表情筋が緩んでしまった。


「……なんです? 一人でニヤニヤして……」
「いえ! その……ありがとうございます」