「……言いたくないことを無理に話せとは言いませんが、」
「倉本様に言いたくないことなんか滅多にありません!!」
「そうですか。では、貴女の様子がおかしい理由を話してください。どうぞ」
「えっ」
「……なにか?」
「い、いえ……」


 少女漫画脳の恋幸は、てっきり「言いたくなったら話してください」と微笑まれて終わるものだとばかり思っていたため、予想外の追求に困惑が隠せない。
 しかし同時に、裕一郎に対して(恋幸に限り)どれだけ誤魔化そうと(顔に出るため)無駄であると学習したのだった。

 ……いつまで覚えているかわからないが。