裕一郎は恋幸の唇(ついば)むようにしてちゅ、ちゅと何度か短い口づけを繰り返した後、まるで彼女を安心させるかのように片手で頭を優しく撫でると、強張っていた肩から力が抜けたタイミングを見計らって唇を深く重ねる。


「ん……っ、」


 かたく目を(つむ)り彼に身を(ゆだ)ねていた恋幸が恐る恐る口を開けば、隙間から侵入した熱が彼女の舌先をちょんとつつき反射的に肩が跳ねた。

 その拍子に彼の眼鏡が恋幸の鼻先に軽くぶつかってしまい、心の中で「いてっ!」と漏らすとその声が聞こえていたかのように裕一郎は一旦顔を離してしまう。


「……あ」