そして十数秒後、恋幸がそろそろと差し出したのは手ぬぐいに包まれた『何か』で、今度は本当の意味で首を傾げてしまう。


「す、すまほ……あの、携帯、お家に忘れてました、ので……お届けにあがりました……」
「ああ、なるほど。ありがとうございます」
「どういたしましてです……っ!」


 裕一郎は彼女から手ぬぐい――に、丁寧に包まれているスマートフォンを受け取り、センターテーブルの上に置いてから「手ぬぐいは洗って返します」と言って頭を撫でた。


「ここへ来た目的を聞くつもりでいたのですが、本来会えない時間に貴女に会えた嬉しさで忘れていました」
(ん゛っ!!)