(うーん、うーん……)


 開きっぱなしのページを無意味に何度も上下にスクロールしながら、恋幸は立てかけてあるメニューへ目を走らせる。


(……! ショコラケーキだ!)


 すると、あら不思議。暇を持て余していた彼女の左手が勝手に呼び出しボタンをぽちっとな。
 ピッ! ピンポーン!


「失礼します、お伺いします」
「えっと、この…『ほのかなブランデー香る濃厚クリーム入りショコラケーキ』を1つ、追加でお願いします!」
「ショコラケーキが追加でお1つですね、少々お待ちください」
「はい……」


 たいがい、商品名は従業員に対してフルで読み上げる必要がないものだ。