《柊輔》


車の中で、



寝てしまった水上の家の近くまで来てから。




家の近くなのだろう駅の前の路肩に車を止めて起こして見ても、起きる気配はなくて。




ここからの道順を知らない俺は仕方なく、





俺の部屋に連れて帰ることにした。












ベットに水上を寝かせて、




シャワーを浴びようと離れた時ーーーだった。






「…歳三さん…」





水上が、確かに前世の俺の名を言った。




水上が…あの女なのか?




思い起こせば……



今まで、




俺の前世を聞いて泣いたり、



握った手と笑顔を懐かしく感じたり、



切なそうな瞳をして俺を見て居たり、



泣きそうな顔をして居たり、



いくつか気になる言葉も口にしたり。





水上が、気付いていたなら……



全ての言動に辻褄が合う。







気付いていたなら、なぜ?




私だ、と言ってくれなかった。




話してくれたら、思い出したかもしれねぇだろ?