ドラマの放送が始まると、視聴率上位の番組にランクイン。期待の若手俳優のとして、紹介されている姿を見ると、再び母心、発動。

「がんばれ~、遼ちゃん!」

 思わず、手を握りしめながらテレビの画面にくぎ付けになった。教室のシーンになると、時々見切れて一馬の姿が映る。

「うーん、一馬もいい感じに映ってるじゃん。」

 思わずニヤニヤしてしまう。

 ピンポーン

 L〇NEの着信音。一馬からだ。

『俺、かっこよくねぇ?』

 ぷっ。自分でいっちゃったら、ダメじゃん。

『遼くんのほうがイケメン』

 返って来たのは、怒ってる顔のスタンプ。ついつい笑ってしまう。
 すると、見知らぬアカウントが、友達申請?

『RYOTYAN』

 ……まさか。

『美輪さん、よろしくお願いします。<m(__)m> 』

 ……フフフ、許可してやろう。

『よろしく~』

 返ってきたのは……かわいいキャラのスタンプの嵐に、思わず、王子様キャラはどこへ行った、と思ったのは言うまでもない。




 ドラマの撮影は終わったのか、その後、一馬からもエキストラの話は来なくなり、お茶の間ファンの私は、ドラマの放送で王子様キャラの遼ちゃんを応援する日々。
 L〇NEもあの日以来、一度も鳴ることもなく、まるで夢だったんじゃないか、と思い、王子様キャラの遼ちゃんを妄想することが楽しみになった。
 そんなある日。ドラマがエンディングに変わった頃に、久しぶりに一馬からL〇NE。

『明日の夜、暇?』
『なんで?』
『あのドラマの打ち上げなんだって。遼に誘われた。』

 ……たかだかエキストラに出ただけなのに?

『行ってくれば?』
『俺、未成年。保護者希望。』

 ……今さら、何を。と、思ったが、王子様キャラの遼ちゃんに会えるかもしれない、という欲がムクムクとわいてきた。

『何時? 場所どこ?』

 待ち合わせの時間と場所を決めた。一馬と一緒だと、またオカマキャラかな……?と、苦笑い。

 そうと決まったら、悪あがきタイム!!
 一馬は、あのままで十分、げーのーじんの中にいても負けないだろうけど、私は少なくとも努力の跡が見えるくらいにはしておかないと……一馬のマネージャーくらいには?(ああ、情けない)

 いつもより長めのお風呂に入り、しっかり、パック。まぁ……外見はどうにもしようがないので……それでも無駄な努力。



 寝る前に、スマホを見ると、L〇NEのマークがついてる。見てみれば『RYOTYAN』から。

『明日、会いましょうね~!』

 思わず、笑みが零れる。
 オカマっぽいけど、王子様キャラに脳内変換しておこう。
 いい夢が見られそうだ。