幾度となく
虫として生まれたり、
小動物として生まれたり。

今度こそはニンゲンとして
彼女のそばで、
彼女を守るんだ。


「おぎゃあー。」

やった。ニンゲンだ。ヒトだ。
ついに夢が叶ったんだ。

「元気な男の子ですね。」

見上げるとそれは
優しく微笑みかけてくれる。

ご主人だ。

あのヒトの子どもとして
生まれたのか。
伴侶としてではなく…

柔らかな感触。これは。
乳を飲ませてくれているのか。

あぁ、最高。幸せ。
これからは、この幸せを
享受できるのだ…。

最高の人生だ。