「あっ…新井くん…ごめんなさい……私……私は…っ。」

「……わかってたから。」

「…え?」

「先生は、そんな簡単に…生徒とデートしたりするような人じゃないって…。」

「…じゃあ、何で…こんな」

「言わないなら最初から何も無いのと一緒だから…。その他大勢の中の生徒の一人じゃなくてちゃんと一人の男として見てほしかった。」

「…え…新井くん…。」

「俺みたいな不良…
相手にされないってわかってる。
だからちゃんと諦めようと思ってた…。
でもあの日…本当に…偶然会って…
初めて、ちゃんと会話をして…
先生が俺を見てくれてて…
当たり前なんだけど…
そんな何気ない事だけで
すっげー嬉しくて、楽しかった。
先生は、俺が思ってた通り…
いつも一生懸命頑張ってて
明るくて楽しくて…
でも、たまに天然で…
行動が変な時とかあるけど
それも可愛くて…
会うたびに…話すたびに…
好きなのやめれなくなっていった。
それ以上に本気で好きになってた…。
俺、バカだから
こういう時…
どうしたらいいのかとか…
全然わからないけど…
…心が…おかしくなりそうで…
あなたが好きなんだ。
この想いを伝えないとダメ…になる。」



「…俺…こんな事言って…やっぱ引かれた…っよな…。」

紗和の困り果てた顔…
だけど…ガキだった俺は、どうしょうもなく目の前の彼女が欲しかった。
だから、彼女が困っているってわかってたけど、抑えることができなかった。
本当なら、気持ち悪いなんて思われても仕方がない。
嫌われても仕方がないような事をした。


だけど…紗和は俺を受け止めてくれた。
ちゃんと俺を見てくれた。

先生として…

なら、俺は…
先生として…
沢村に向き合っていたのだろうか。