20 (あなたの好きな人)

「今日も重いな…。」

夏の暑さがピークに達するころ、私はいつものように買い出しをしていた。

「あ、」

スーパーを出て、帰ろうとした時、遠くに凌さんの姿が見えた。

「りょ、さ…」

でも、…隣には…女の人が居る…。

綺麗な、可愛いというより美しいが似合うような人。

もしかしたら、私の見間違いじゃないかなって思ったけど、そんなことない。

間違いなく、凌さんだ。

「っ!」

やだ、そんなの見たくない…。

凌さん、笑ってる…。

凌さん、彼女いたの?
あぁ、もうダメだ。視界が涙で滲む。

「佑香ちゃん?」

え、この声は…誰…?

「なな、せ、さん…」

「え?どうしたの!なんか泣きそうだけど…」