確かに私がこんな所で一人で倒れたら、私の両親は桐人君を責めるかもしれない。
それに彼の口から『俺』と聞いた。
いつもより低い声色は明らかに怒気を含んでいた。
黙っていたら向こうからはぁと重い溜め息が聞こえてきた。
相当苛立たせてしまったかもしれないと思うと目頭が熱くなって鼻の奥はつんと痛みを伴う。
桐人君が怒るのはごもっともだから、今泣いたら卑怯だ。
私は涙をグッと堪える。
『各務を呼んで』
不機嫌そうな声よりも、唐突に出された名前に涙が引っ込み、電話を持ちながらキョトンとなる。
「なんで諒ちゃん?」
『彼氏だろ』
桐人君の呆れた声に思い出す。
熱のせいもあり、すっかり忘れていた。
「違います……」
私が否定すると向こうからは『え?』と気の抜けた声が聞こえてきた。
「桐人君を私と無理矢理結婚させるわけにはいかないと思ってついた嘘なんです。だから諒ちゃんはただの幼馴染みです」
もう嘘をついても仕方ないし、桐人君はお母さんのために協力してくれている。
だから桐人君には諒ちゃんとの嘘をきちんと説明しようと思った。
それに彼の口から『俺』と聞いた。
いつもより低い声色は明らかに怒気を含んでいた。
黙っていたら向こうからはぁと重い溜め息が聞こえてきた。
相当苛立たせてしまったかもしれないと思うと目頭が熱くなって鼻の奥はつんと痛みを伴う。
桐人君が怒るのはごもっともだから、今泣いたら卑怯だ。
私は涙をグッと堪える。
『各務を呼んで』
不機嫌そうな声よりも、唐突に出された名前に涙が引っ込み、電話を持ちながらキョトンとなる。
「なんで諒ちゃん?」
『彼氏だろ』
桐人君の呆れた声に思い出す。
熱のせいもあり、すっかり忘れていた。
「違います……」
私が否定すると向こうからは『え?』と気の抜けた声が聞こえてきた。
「桐人君を私と無理矢理結婚させるわけにはいかないと思ってついた嘘なんです。だから諒ちゃんはただの幼馴染みです」
もう嘘をついても仕方ないし、桐人君はお母さんのために協力してくれている。
だから桐人君には諒ちゃんとの嘘をきちんと説明しようと思った。



