あなたは運命の人

「僕は気にしてないよ」

「同僚の方、青柳先輩ですよね?」

桐人君は私が出した名前に目を剥いたが、すぐに表情を戻した。

「よく分かったね」

「高校の時から桐人君と目立ってましたから」

そう言うと気まずそうに目を逸らされた。

「桐人君からで申し訳ないですが、お伝え下さい。改めてご迷惑をお掛けしました」

「大丈夫。僕も彼女も気にしないタイプだから」

その言葉を聞きながら思った。

私の前では桐人君は『僕』になる。

きっと彼は私に全てを曝け出したくないのだと。

だから青柳先輩のことも話してくれないんだ。