あなたは運命の人

桐人君は救急車を呼んでくれた人にお礼を言うと、青柳先輩と去って行った。


もし意識を失って倒れても、残されて不安だとしても、桐人君の足を引っ張ることだけはしたくなかった。


救急隊員に症状を説明すると、脈拍の検査をした。
今は異常は見られないようなので、帰宅することにした。
頭を下げて救急隊員を見送ると携帯が震えた。
諒ちゃんからの着信だった。


「諒ちゃん?どうしたの?」

『桐人君から電話が来たの。お前が倒れたから迎えに行ってくれって』

桐人君は諒ちゃんに連絡をしたらしい。




「今日はご迷惑をお掛けしました」

十九時、帰ってきた桐人君に迷惑をかけてしまったことを謝罪した。

「君が気にすることじゃない。それよりあんなことを突然してごめん。僕がキスしたこと、怒ってない?」

不安そうな瞳を向けられると申し訳なくなった。

「怒るなんて滅相もない!あれは人助けのためですからキスに入りません!だから桐人君は気にしないで下さい!」

私の言葉に桐人君は一瞬目を見張ったが、すぐに微笑を作る。