あなたは運命の人

突然何を言い出すのだと諒ちゃんを見ると、頬杖をついて楽しそうに口角を上げながら私を見ていた。

いつも諒ちゃんは私をからかって遊ぶ。
ふざけないでと文句を言おうとした時だった。


「君が居たら意味が無いから」

桐人君が抑揚のない声で一言。


「俺、彼氏なんだけど？」

諒ちゃんは表情を崩さず返す。


「君の彼女はこの状況を納得してるはずだけど」


桐人君の顔を見ると無表情で黙々と食べていた。

火照っていた身体中の熱が一気に冷めていった。

そうだった。
桐人君はお母さんのために私と居るんだった。




料理を食べ終わると諒ちゃんは帰って行った。諒ちゃんを一人見送った廊下で自分を落ち着かせようと考えているとリビングの扉が開いた。

「話をしよう」

桐人君は晩ご飯中、無言だった。
そのせいか諒ちゃんも無言で、重苦しい雰囲気だった。