あなたは運命の人

「ダメって言ったのに!」

「何やってる」

背後から低い声。
顔を向けるとそこにはスーツ姿の無表情の桐人君が居た。


「うわぁ!おかえりなさいっ!」

突然現れた桐人君に驚いて声が大きくなってしまった。

「おかえり〜桐人君」

笑顔で挨拶をした諒ちゃんを桐人君は一瞥する。

「着替えてくるよ」

桐人君が無表情でそう言ってリビングから出て行くと、何故か肩を揺らしてククッと笑う諒ちゃん。

「面白いね」

「何が?」

「何でもない」

疑問符が頭の上に浮かんだが桐人君も帰宅したし、一先ず晩ご飯の準備を再開することにした。

諒ちゃんが「手伝う」と言ってくれたので、料理を盛り付けたお皿を並べてもらう。