あなたは運命の人

「待ってるね」

隣には申し訳なさそうな笑顔を作っている桐人君。

流石にこれを躱せる言葉は桐人君にも出て来なかったらしい。


というわけで強制的に荷造り。
そう仕向けたのは私達だが、まさかこんなことになるなんて思わない。

桐人君が車で来ていたので、その車で早速行くことになった。


「美優をよろしく頼む、桐人君」

お父さんが玄関で桐人君に頭を下げた。

お父さんは何も知らない。
演技をしていることに少し申し訳なくなった。

「美優!幸せにね!」

お母さんはずっとハイテンション。
そんなお母さんを見たら、これで良かったと思えた。

「美優さんはこれから僕が守りますから」

演技の言葉に何度キュンキュンさせられるのだろう。


桐人君が車の扉を開けてくれた。
しかも助手席。

車が発車すると私はすぐさま口を開いた。