あなたは運命の人

「ここにサインして欲しい。俺と結婚して下さい」

ストレートなプロポーズ。

嬉しすぎて涙がブワッと溢れ出た。

「きちんと言いたかったんだ」

ふわりと微笑まれたら益々涙は止まらない。

「こ、これ、いつの間に……」

「夕飯の準備中、美優にはこっそりとね」

全く気付かなかった。

「それより返事を聞いていないよ」

返事なんて決まっている。

「わ、私なんかで良ければっ」

嬉しすぎて、私は既に鼻声。

「美優が良いんだから、私なんかなんて聞きたくないし、そこはちゃんと返事をしてよ」

私は右手で涙を拭くと、私の左手を掴んでいる桐人君の手の上に右手を置いて息を吸い込んだ。

「勿論桐人君と結婚したいですっ！」

気持ちが伝わるようにと気合いを入れたら、大きな声が出てしまった。

恥ずかしくて目を泳がせると、私を見ながらクスッと笑った桐人君。

「嬉しいよ」

その言葉の通り、嬉しそうに表情を綻ばせると、私も自分の気持ちを伝えられたことに安堵して顔を綻ばせた。