あなたは運命の人

未知の経験だ。
上手く出来るかも分からない。
それに全てを見せるのは恥ずかしい。

でも、貴方に触れられたい私もいる……。

期待と緊張で心臓が破裂しそうだ。

私はゆっくりとソファに腰を下ろした。

ドキドキに耐えながら目の前の桐人君を見る。

すると桐人君は私から手を離し、私の横に座った。

あ、あれれ?
キスの続きじゃ?

「話をしようか」

落ち着いた様子で微笑みを携えて話し出した桐人君。

勘違いした自分が恥ずかしくなり、思わず下を向こうとしたその時、桐人君がスーツの内ポケットから折り畳まれた紙を一枚出すと広げていく。
何だろうと見ているとすぐにそれが何か分かった。

婚姻届だった。

「え」

驚きすぎて、目を見開きながら言葉が漏れた。

だって妻の欄以外、全て記入してあるから。

勿論夫の欄は桐人君の名前がある。
証人欄にはお母さんと桐人君のお母さんの名前まで。


「美優」

桐人君は私の名前を呼ぶと私の手を握った。
桐人君は何故か強張った顔をしていたが、すぐにその理由は分かる。