あなたは運命の人

桐人君の言葉は先程からずっと私を喜ばせる。

鼓動の速度はずっと最速のまま。

すると両頬に触れていた熱が離れていった。

どうして突然手を離したのだろう?と不思議に思うと、何故か桐人君は憮然そうな顔を見せた。

「それより美優は俺を傷つけたことを償わなきゃいけないよ」

そこに桐人君が意味深なことを言った。

どういうこと?と私は眉を少し寄せる。

「君だって各務と付き合ってると嘘を言った。俺だってずっと苦しかった。高校の時の婚約破棄が一番傷付いたけどね」

桐人君の顔には焦燥の色が滲んでいた。

「あんなにキスしたのに、青柳と付き合ってるなんて思われたことにも傷付いた。俺って君には最低な男に見えるの?今日の夜、続きをしようって言ったのに」

桐人君は拗ねたように唇を尖らせた。

桐人君の気持ちは完全に私に伝わった。

きっと私の弱い心のせいで、桐人君を信じきれなかった。

桐人君の気持ちにも気付けなかった。

いつも私を見ていてくれた桐人君に……。