あなたは運命の人

「わ、私のどこを好きになるの?私なんて、軟弱だし、すぐ熱を出すし、面倒でしかないのに……」

自分で言うのもなんだが、理解出来ない。
あの路上での過呼吸もホテルの時も迷惑をかけたのに、こんな私を桐人君が好きだなんて信じられない。

「何で自分を卑下するの。身体は生まれつきだから仕方ないし、君は君なりに出来ることを頑張ってる。俺はそんな姿を見て好きになった」

「わ、私は何も頑張ってない……」

「大学に通いながら俺のために晩ご飯作ってくれてる」

「桐人君だって朝食作ってくれてるし……」

「仕事のために秘書検定の勉強もしてる」

「それは社会人として当たり前かと……」

「高校の体育祭の時、自分は出れないからって応援旗を一人で作ってたりしてた」

その言葉に目を見開いた。

「ど、どうしてそれを知って……」

何も出来ない自分が歯痒くて、こっそり放課後に残って作っていた。
誰にも話さずに担任の先生に渡したのに。

「だから君の頑張りはずっと見てるよ。自信を持ってよ」

桐人君が優しく目尻を下げて微笑む。