あなたは運命の人

「同僚の方、青柳先輩ですよね?」

美優が出した名前に目を剥いた。

青柳を知らないと思っていたから。

「よく分かったね」

「高校の時から桐人君と目立ってましたから」

それは、俺達が付き合っていたから?

微笑む美優。

俺が誰と付き合おうが気にするはずもないよな。

俺は苦しくなって目を逸らした。

「桐人君からで申し訳ないですが、お伝え下さい。改めてご迷惑をお掛けしました」

「大丈夫。僕も彼女も気にしないタイプだから」

俺は会話を終わらせた。

だって美優と元彼女の話なんてしたくない。




次の日から仕事に没頭した。
美優に極力関わらないように。

そんな週末の金曜日の十三時半、事件が起きた。


『熱が出てしまい、桐人君に移ると大変なので、よくなるまではホテルで泊まります。』