あなたは運命の人

「美味しいよ」

「よ、良かったですっ」

なに今のホッとした顔。
俺はもっと美優に近付きたいのに。

美優の右手を掴んだまま顔をじっと覗き込む。

お互いの顔の距離は三十センチ程。

更に見つめると頬が上気づいた。

もっと近付きたい。

そう思った時、顔を逸らされた。

なんで逸らすの。

「逃げないで」

美優の右頬を掴み、元に戻した。

「あ、あの、き、桐人君……?」

動揺からか掠れた声。

目の前には俺を惑わす潤んだ大きな瞳。

ふっくらとした魅惑的な美優の唇に引き寄せられていった。




「あっらー!やだー!」

だがキス寸でのところで、甲高い声に我に返った。

美優には各務がいる。
キスをしたら、美優を困らせてしまうところだった。